アトピー性皮膚炎の診療

10月19日(日)に東京の大手町で

【中医皮膚病10周年記念講演】

を聞いて勉強してきました。

東京で9時半スタートというと群馬を7時に出発。

やはり距離がありますね。




さて、内容ですが

午前中は、

日本歯科大学医学部門皮膚科学教授の山口全一先生による講演で

画像の説明

『アトピー性皮膚炎の治療』というタイトルで

副腎皮質ホルモンの副作用も含めてのお話でした。

簡単に話をまとめてみますと、

アトピー性皮膚炎というと、昔は小児の病だったはずが

今では思春期や成人のタイプが非常に増えてきている。

アトピー性皮膚炎の病因は、

  • アトピー素因
  • アトピー皮膚
  • Ⅰ型アレルギー(皮膚表面のアレルギー)の関与
  • Ⅳ型アレルギー(血液を介するアレルギー)の関与
  • 血中好酸球増多
  • 血中IgE抗体高値
  • 血中特異的IgE抗体が陽性
  • 血清TARC値が増加することあり(バイオマーカーとして有用)

などであり、


アトピー性皮膚炎の経過や予後については、

  • 乳幼児期のみに症状があるパターン
  • 従来は、多くの場合15歳までに自然寛解していた
  • 近年は、思春期や成人になってから初めて発症するパターンもある
  • 小児期から治癒せずに成人まで症状が継続する例
  • 季節によって寛解、再発などを見る例
  • 基本的に生命への予後は良好である

ということでした。




診断基準等は省略して、

アトピー性皮膚炎の治療法に関してですが、

慢性に経過することが多いので、

年齢、発症部位、重症度、合併症、全身疾患の合併を考慮し

抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、

副腎皮質ホルモン剤、非特異的脱感作療法、

免疫抑制剤(ネオーラルのみアトピー性皮膚炎に認められている)、

漢方療法、グリチルリチン製剤、ハイチオール(L-システイン)、

ビタミンB2・B6、強力ミノファーゲンなどを使用する。

ただし、この中で''副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)の内服は、


避ける方が望ましい''ともおっしゃっておりました。

全身性の副作用が大変強いので、

なるべく使わなくて済むように気を付けるようです。

局所的治療法としては、

ステロイド剤の・・・

  • 単純塗布
  • 重層法(ステロイド+ZOS)
  • 密封療法(ODT)

が基本の治療法となる。

非ステロイド性消炎剤(NSAID)は最近使用頻度が減っている。

また、免疫抑制外用剤(タクロリムス)

その他保湿剤、亜鉛華10%単軟膏、

アズノール軟膏、白色ワセリン、

PUVA療法を行って治療するそうです。

PUVAを使用する場合、光線過敏になるので

基本は入院してもらい治療するとのこと。


それと、

ステロイド外用剤の塗布量の基準として設けられている

FTUのお話もありました。

アトピー性皮膚炎のガイドラインにも掲載されていますが、

指先の第一関節までの量で両掌分とするのが基本です。

最近は、『プロアクティブ療法』が推奨されつつあり、

これは皮膚症状が軽快した後も、

週に1~2回の間隔で副腎皮質ホルモン外用剤や、

プロトピック軟膏などの抗炎症薬を使用していくという治療法です。

これにより、アトピー性皮膚炎の皮疹が再燃が減少し

寛解期間が延長できるようです。

また、副作用についてですが

ついつい何でも出されてしまうステロイド剤ですが

やはり注意が必要だとのことです。

特に、

「皮膚の感染症」と「動物性皮膚疾患」には注意すべきで

疥癬が最近増えてきているのは、

きっとステロイド剤の使用頻度が多いためではないかとのことでした!

内服のステロイドの場合、

山口先生はアトピー性皮膚炎に使用する場合

入院時のみしかほとんど使用しないとの事です。

しっかり管理することができるので、

副作用が発症しにくくすることが出来るという理由からです。

全身性の副作用に対する対応策としては、

骨粗鬆症では、ビスホスホネート製剤を用い

動脈硬化病変では、高脂血症治療薬など、

そしてステロイド剤は特に維持量を

出来るだけ少量にすることが大切です。

以上、

山口先生の講演をまとめてみましたので

西洋医学的な治療法として、

参考になるかと思います。

と言っても、山口先生は東洋医学も取り入れていて

完全な西洋医学のみのドクターではありませんが・・・。

これで午前の部は終了です。

皮膚科教授から直接お話の聞ける、とっても貴重な時間でした!!


午後の部の続きは、後ほどお知らせします。

湿疹・アトピー性皮膚炎の三段階的中医治療

という内容で、

中国の雲南省からわざわざお越しいただいた

教授の「葉 建州」先生の講演です。

お楽しみに・・・。

(ちょっとマニアックなお話になりそうですが、興味ある方だけどうぞ!)








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