ステロイドの副作用について

何かと話題になるステロイドの副作用ですが、意外と詳細は知らない方が多いようです。内服による副作用は重めのものが多いですが、外用剤を使用した際によく起こるのは限られています。もちろん、全身性の副作用が全く起こらない訳ではありませんが、頻度は非常に少ないと言えるでしょう。


実際に外用剤を使用した場合、どの程度で全身性の副作用が出現するかというと、ガイドラインでは次のように記載されています。


【ベリーストロングクラス(デルモベート、ダイアコート、ジフラール等)のステロイド外用剤の長期使用試験結果より、通常の成人患者では十分量である1日5ないし10g程度の初期外用量で開始し、症状に合わせて漸減する使用法であれば3カ月間使用しても、一過性で可逆性の副腎機能抑制は生じるものの、不可逆性の全身的副作用は生じない。


ただ、体質によりランクの低いステロイドで、長期間使用した訳ではないにも関わらず中止した際の離脱症状が強く出てしまうケースも経験しています。


ステロイド外用剤で起こりやすい副作用

♦皮膚の萎縮
♦血管の拡張
♦感染症(細菌、カビ、ウイルス)にかかりやすくなる
♦多毛(毛深くなる)
♦皮下出血
♦ステロイド痤瘡(にきび)
♦ステロイド皮膚炎
♦酒さ様皮膚炎
♦ステロイド離脱症状

※感染症の補足

小児においては、
『伝染性軟属腫(水いぼ)』
『伝染性膿痂疹(とびひ)』
『皮膚カンジダ症』

成人では、
『単純ヘルペス』
『痤瘡(にきび)』
『毛嚢炎』

などに注意が必要です。


ステロイド内服等で起こりうる全身性副作用

-副腎不全
-糖尿病になる、糖尿病が悪化する
-ムーンフェイス
-骨粗鬆症・骨折
-幼児・小児の発育抑制
-骨頭無菌性壊死
-動脈硬化病変(心筋梗塞、脳梗塞、動脈瘤、血栓症)
-消化管障害(食道・胃・腸管からの出血、潰瘍、穿孔、閉塞)
-精神神経障害(精神変調、うつ状態、痙攣)
-不活化ワクチンの作用減弱
-白内障
-緑内障
-視力障害、失明
-中心性漿液性網脈絡膜症
-多発性後極部網膜色素上皮症
-高血圧
-浮腫
-うっ血性心不全
-不整脈
-脂質異常症
-低カリウム血症
-尿路結石
-ミオパシー
-腱断裂
-ムチランス関節症
-膵炎
-肝機能障害
-異常脂肪沈着
-発汗異常
-月経異常
-白血球増加
-アナフィラキシー様反応
-過敏症
-カポジ肉腫
-気管支喘息、喘息発作
-ショック
-心破裂
-心停止
-頭蓋内圧亢進
-硬膜外脂肪腫


※ステロイドを内服する場合、上記のように様々な副作用の可能性があるため、短期的使用もしくは入院などで経験豊富な医師の管理下で使用するのが望ましいでしょう。ステロイドの内服は、ご本人がちゃんと「リスク&ベネフィット」を理解し納得した上で使用することをお勧めします!



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