毛包性膿皮症について
毛包性膿皮症は以下のようにいくつかに分類できます。
毛包炎
浅在性、深在性、単発型、多発型等あるが一般的に浅在性の毛包炎をさす。
原因は、ほとんどが黄色ブドウ球菌で、表皮ブドウ球菌によることもある。稀に、菌交代現象で大腸菌、セラチア、緑膿菌などのグラム陰性桿菌感染もある。また、多汗、摩擦、抜毛、ステロイドの使用などが誘因となる。黄色ブドウ球菌の時に炎症が強く、根をもった状態となる傾向にある。
一般的な治療は、イソジン消毒や抗生物質内服、外用です。
ボックハルト膿痂疹・急性表在性毛包炎
最も表在性で多発する急性の毛包炎。毛包性小膿疱で赤みを伴い、わずかに疼痛があり、中央に毛が貫通する。大人の手足に出来やすいが、約1週間で治癒することが多い。不潔にしたり掻きこわしたり、油脂との接触でなりやすい。原因は、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌。治療は、膿疱を破ってから抗生物質の軟膏を塗布するのが一般的です。
せつ(癤)
急性深在性の毛包炎で、毛穴の入り口から奥まで膿瘍となる。
症状は、毛包炎から始まり、発赤、腫脹、浸潤し、頂点に膿を持ち、自然痛、圧痛を伴う結節ができる。膿が排出されると急速に治癒に向かう。リンパ節の炎症も伴うことが多く、軽い発熱を起こすことがある。昔は顔に癤ができると、髄膜炎や脳膿瘍の原因となることがあり、面疔(めんちょう)として恐れられていた。
原因はほとんどが黄色ブドウ球菌。治療法は、抗生剤の内服、外用。切開しての膿の排出。
よう(癰)
数個の近接する毛包が化膿するため、鶏の卵大時には手のひら大にまで及ぶ赤み、腫脹、浸潤性隆起を生じ、点々と膿栓をみる。熱感、疼痛、悪寒発熱などを伴うことが多い。深い部分まで化膿が進行するため、組織壊死をきたす。壮年以降の項背部に好発し糖尿病がベースとなっていることが多い。昔はかなり多く、大きく十字切開していたが、現在では抗生剤などを使用することで対応可能となった。治癒後は瘢痕(跡)が残ってしまう。
尋常性毛瘡
慢性の深在性毛包炎のことで、成人男子の須毛部(口・顎・頬の髭の部分辺のこと)に毛包性膿疱が多発する。赤み、のちに痂皮(かさぶた)ができ、お互いが融合して浸潤面をつくり、痒み、灼熱痛が激しく難治性。湿疹化する場合もある。黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌が原因となり、こちらも糖尿病が関連していると言われている。抗生剤内服など強力な治療が必要。
a:4982 t:2 y:0